Sweet*Princess
2*大切なモノ
最近、姫乃に会ってない。
避けられてるのかな?
屋上のフェンスに背を預けて座り込む。
……部活行かないとなぁ。
「壱斗。部活さぼってんじゃないわよ」
「ハハ。ごめん」
美園は寂しそうに笑って、隣に来た。
「姫乃がさ……、家出てったよ」
「嘘…なんで?!」
「“好きな人”に会えたんだって」
「……どういうこと?」
ふと校門を見れば、姫乃の姿。
周りがぼやけるくらい、彼女しか見えなかった。
今も、これからも、きっとそうだ。
“あの日”から
俺の、生活の中心は彼女だった。
彼女が戻ってくるわけがない。
今もほら、隣にいるのはあの男。
「“事故の時に抱き締めてくれた人”。今一緒にいる人」
二人を指差すと美園も二人を見た。
美園の目が、驚きに満ちていく。
「なんで、抱き締めた人って…」
「なんでかはわからないけど。」
「抱き締めてたのあの人じゃないじゃない…!なんで本当のこと言わないの?!」
俺の代わりに泣いてくれる美園に感謝した。
俺が泣いたら、姫乃は傷付くだろうから。
*