Sweet*Princess
「俺、邪魔してたみたいだし」
「え…?」
佐藤さんの目を見ると、優しさの中に悲しみが混じっていて
気付かないふりをして慌てて目を逸らした。
「“兄です”って言った男の子さ、ほんとは違うでしょ?」
「……ごめんなさい」
「いや、謝るのは俺のほう。二人の気持ちは痛いほど伝わってきたのに気付かないフリした。だって、姫乃ちゃん目が違うんだもん。“大好きです”って目が言ってた」
「私、自分でも全然気付いてなかったのに…」
「そんなもんだよ。気持ちが大きくなればなるほど自分の心が見えなくなる。」
壱斗を好きになればなるほど自分の気持ちが見えなくなって
釣り合わないとか、そんなことばかり気にしてた。
でもほんとはそんなのどうでもいいんだよ。
私は壱斗が好きで
壱斗も私を大切にしてくれる。
それが一番大切なんだって
教えてくれたのは周りの人と
いつも頭の片隅にあった壱斗の笑顔。
世界で一番大好きな、あの人の笑顔。
ねぇ、もう一回私を見て微笑んでくれる?
そしたらもう、あなたの傍にずっといるから。
ねぇ、壱斗……
*