Sweet*Princess
3*好きな人
“今日、姫乃ちゃんと話したよ”
尚からのメールを見て、一つ溜息。
会いたいなぁ……
でも、フラれたのにこんなこと思う弱っちい自分を正直嫌いではない。
姫乃がいる証。
自分が姫乃を想っている証。
俺、もう重症なのかも。
カタン
小さな音がして、扉のほうを見たらいるはずのない人が見えた気がした。
………重症、決定。
「壱、斗…」
はぁ、もう幻聴まで………
って、え?!
もう一度急いで振り返ると、やっぱり見える。
愛しい人の姿。
「ひ、めの…?」
「壱斗…」
嘘だろ…?
姫乃の元へ向かう途中、何度も足がもつれてこけそうになった。
「どした…?なんか忘れ物?」
泣い、てる……
なんで?
あの男、確か佐藤さんとかいう男になんかされたのか?
……姫乃を傷付けるなんて、許さねぇ。
そう思って拳を握った時
姫乃の足元にある荷物に気付いた。
………どういうこと?
*