Sweet*Princess
「何怒ってんの、姫乃」
車に乗り込むと、壱斗は私を見てクスクス笑った。
「だって、だって斎藤さんムカつくんだもん」
「あれで結構、姫乃のこと気に入ってんだと思うよ?」
「き、気に入ってあんな意地悪なら、気に入られたくないッ…」
「ハハ、それもそっか」
壱斗は肘を立てて、少し開いた窓から外を眺めている。
揺れる柔らかい髪に光が射して、綺麗な顔を更に際立たせる。
風でピラピラめくれるシャツの下に、紅く色付く跡。
“ここにさ、キスマークつけて?俺が姫乃のものだって証”
昨夜の壱斗の言葉を思い出して、一人で赤くなった。
壱斗の固い胸板に、何度キスしても跡は付かなくて“付かないよ”って泣きそうになった私に、彼は微笑んだ。
“じゃぁ、俺が見本見せてあげる”
彼が胸元に顔を寄せて、チクン…ってかすかな痛みが走る。
“こうやってやんの”
彼が顔を上げて微笑むから、ふと胸元を見ると綺麗に色付いたシルシが見えた。
“私は、壱斗のものだね…”
恥ずかしいけど、嬉しくて
顔を真っ赤にしながら笑った。
*