この力があるかぎり
合同訓練
――――訓練室
講堂から訓練室までは意外に近く、5分もしないうちに着いた。
訓練室は…天井が高く、見た目でいうと剣道などを行う道場のような感じだ。
周りを見ると既に50人近くの人がいた。
「これから合同訓練を行う。指定の位置につきなさい。」
なんだか少し怖そうな女の人がそう声を上げると、周りの人達が移動しはじめた。
…私はどこに行けばいいんだろう?
というか、さっきまで案内してくれた6人はどこかに行っちゃったし…
これは今の移動を指示した、女の人に聞くしかないか。
「あの…すみません。」
「ん?なんだ?」
「私はどこに行けばいいでしょうか?」
周りの人達はいつの間にか、2人ずつのペアに分かれていた。
「ん?ああ、今日からの新しい人か。初めまして。私は伊織(イオリ)だ。訓練での教官を努めている。これからよろしく頼む。」
「…あ、はい。よろしくお願いします。」
どこに行けばいいか聞いたのに、先に自己紹介をされてしまった。
「それで、どこに行けばいいかだったな。能力の件は聞いている。まずは私とペアを組んでもらいたい。」