この力があるかぎり
特別訓練場
――――特別訓練場
はぁ…はぁ…
さすがに1.5キロも走ると疲れる…
それに…特別訓練場というわりには何もない真っ白い部屋なんだけど…
「どうした?もうそんなに疲れて。このぐらいで疲れていては、この後の訓練はとても持たないぞ?」
そう平然とした様子で答える伊織さん。
私は息が上がっているのに対し、伊織さんは全く息が上がっていない…
やっぱりさすがは教官といったところだろうか。
「よし。さっそく訓練を始めるぞ。最初にこの弾をもってほしい。」
弾…?
疑問に思いながら渡されたのは…
「…! 銃の弾ですか…」
渡されたのは銃弾。
銃本体は無く、細長く先がとがった形状の弾を、なぜかそのまま渡された。
本物だと思うけど…
「これを…どうするんですか?」
一番の銃がないのに、弾だけ渡されても使い道がないと思うんだけど…
「まずこれを見てほしい。」
そう言った伊織さんは、服のポケットから何かのリモコンを取り出すと、それをこの部屋の奥の方に向けた。
そして、「ピッ」という電子音が聞こえたかと思うと、天井の辺りから人の形をした的のような物が出てきた。