この力があるかぎり
的の大きさは人間の大人の平均サイズで、的自体は薄い板でできているようだけど…
「この弾をあの的に当てるんですか?」
「そうだ。あの的に当ててもらう。」
そう平然と言われたけど…どうやって?
銃本体が無いのに…あ、まさか…
「能力を駆使して腕などを使って撃つんですか?」
考えられるとしたらそれくらいしかない。
「そうだ。よく分かったな。」
やっぱり…多分、これは念力をコントロールする訓練で、そのために銃を使わないで弾だけを使って的に当てるんだ。
「能力を使うと言った時点で分かっていると思うが、一応説明しておく。これは念力で銃弾の軌道、威力、そして着弾点をコントロールするために行う訓練だ。」
…思っていたよりも、難しそう。
「最初に私が手本を見せる。よく見ておくように。」
そう言った伊織さんは、リモコンが入っていた方と逆のポケットから、私に渡したものと同じような銃弾を取り出すと、的の方に自分の手を向けた。
「3、2、1…」
伊織さんが集中しながら静かにそう数えた瞬間――――
バァン!