この力があるかぎり
1秒もかからなかったと思う。
銃弾の音とは思えないほどの、爆発音のような音が聞こえた。
私は恐る恐る的のほうを見ると…
粉々に粉砕された的があった。
素材は板できていると思うから、簡単に割れそうだとは思ったけど…
まさか、こんなに粉々にするなんて…
「少々加減が足りなかったか…」
伊織さんも自分で言っちゃってるんですが…
「…まあいい。今のような感じで撃ってほしい。」
今のような感じって…そんなに強くは出せないと思うけど…
「とりあえずやってみます。」
私はそう言った後、さっきもらった銃弾を人差し指の先のあたりに置いた。
それと同時に、伊織さんの方からリモコンの音が聞こえ、さっきと同じ的が奥から出てきた。
銃弾の軌道…20m先の的まで直進。威力…的に貫通した後、弱まる程度に。着弾点…的の中心部。
軽く深呼吸しながら頭の中のイメージを固める。
徐々に指から離れて回転していく銃弾。
「3、2、1…」
伊織さんと同じように数を数えた後…
パーンッ!
私の指の先から銃弾が勢いよく飛び出した。