私は男を見る目がないらしい。
*
「……ケホッ……」
部屋に射し込む太陽の光で、私は目を覚ました。
……身体が痛い。
目も、喉も痛い。
私は泣きながら、いつの間にかソファで寝てしまっていたらしい。
いつもはしばらく言うことを聞いてくれず起き上がらない身体が、今日は珍しく言うことを聞いてくれる。
私はむくりと身体を起こし、部屋を見渡す。
物音1つせず、シンとしている。
……3ヶ月前までと同じ光景がそこには広がっていた。
「朔太郎……?」
ここにいるはずの存在の名前を呼ぶ。
でも、『何だよ、美桜』……その声は返ってこない。
この3ヶ月間が夢だったかのような感覚がした。
……夢だったんだろうか?
それとも、朔太郎のいない今が、夢?
……現実はどこ?
……ブーブーブーッ
「!!」
突然響いた携帯のバイブに私はビクン!と反応した。
朔太郎かもしれない!と思ったから。
ローテーブルに置かれた携帯を震える手でサッと取り、待受画面を表示する。
新着メールの知らせが来ていて開くと……画面に表示されたのはお気に入りの洋服屋さんのメルマガだった。
するりと私の手から携帯が離れ、私の足の甲にガツンと当たった後、床にゴトンと落ちた。
足に鈍い痛みが走る。
その痛さが、これは現実なんだ、と私に告げた。
「っ、う……っ」
あんなに涙を流したのに、また溢れだした。
足の痛さのせいじゃない。
この胸の痛さのせいだ。