私は男を見る目がないらしい。
*
「何なの。最悪ね、その男」
「っ!」
「展開が早すぎて、笑えるから。あたしが話を聞いたその日に男が姿を消すなんて」
「……」
「そんな馬鹿な男に捕まるなんて、美桜は本当に馬鹿ね。すぐに人を信じるところ、直した方がいいわ」
「……」
理子さんにあの後のことをポツリポツリと出てくるままに話した。
話し終わった後の反応は予想通りというか、なんというか。
バサバサと斬っていく反応が、今の私にとっては清々しくて逆に気持ちがいいくらいだった。
「美桜」
「はい……?」
「でも、良かったじゃない」
「え?」
「たった3万で勉強できたんだから。安いものよ。中には100万も200万も授業料取られる人間だっているんだから」
「……授業料って」
「そうでしょう?これでもう、今後同じような目に合いそうになっても冷静に考えられるはずよ。まぁでも、たったの3万ぽっち奪って去った男が何をしたかったのか、あたしには全く理解不能だけどね。普通もっと奪っていなくなるものでしょ」
「……」
……それは私も少し思った。
理子さんに言われた「お金搾り取られて、逃げられないことを祈る」って言葉が浮かんだから。
朔太郎は“たったの3万”のために私と3ヶ月も一緒にいたの?