私は男を見る目がないらしい。
 

「……三浦さんも今日からちゃんと早めに帰ってください。あと」

「え?」

「もう、あんなたくさんの仕事はいりませんから」

「あ、それはもちろんだよ!理子女史の命令解除も出たし、相原さんにももう噛み付かれたくないからね。その分、みんなの仕事量が元通りに戻りますけど、いいですよね?」

「良かったー。暇で仕方なかったんだよなー。論文読み飽きた!」

「でも、相原さんと三浦さんのやり取りはおもしろかったですけどね!」

「確かに!相原さんの言いっぷりはスカッとするんだよな~」

「いや、もう、勘弁してください……」


三浦さんがへにゃっと笑って情けない声を出すと、部屋中に笑いが起こった。

私も一緒に笑っていたけど、仕事仲間に恵まれているな、と感謝の気持ちでいっぱいだった。

 
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