私は男を見る目がないらしい。
「ふ……っ、なに、それ。漫画みたいじゃない……」
私はヒーローにフラれるただの脇役。
ヒロインは彼女。
この恋の結末は、そんな漫画のような話だったんだ。
何でお金を貸してなんて言ったのかはわからないけど、どんな理由にしろ、私は朔太郎にとっては用済みになってしまった。
彼女が振り向いてくれたことで、私と一緒に住む理由も連絡を取る理由もなくなって、だからと言って別れ話をするのも面倒だったから、何も言わずに私の前から姿を消した。
そう考えれば、全てが腑に落ちる。
……はじまりは、高校の時からだったんだ。
同窓会で再会した元カレがカッコ良くなっていて、甘い言葉を並べられただけで簡単に信じて、昔以上に好きになって。
……なのにその人は私のことなんてこれっぽっちも見ていなくて。
朔太郎に他に本命がいることに高校2年間ずっと気付かず、大人になってからも一緒に3ヶ月間も暮らしていたのに気付かなかったなんて。
私、高校の頃から朔太郎の心の中なんて、何も見えていなかったんだ。
「……バカだなぁ、私」
ぽろ、と涙が一粒落ちた。
……やっぱり私は、男を見る目がない。