私は男を見る目がないらしい。
 

「……あーんなに愛し合ったのにな?“美桜”、元カレのことも忘れちゃった?」

「……………………は?」


今、何て言った?

……も、元カレ、って言わなかった?

しかも私のことを名前で呼んだ?


「美桜に忘れられてるなんて、俺ショックで泣きそう」


よよよと顔に手を当てて泣く真似をする目の前の男に構ってる余裕なんてなかった。

今私に課された任務は、この男が誰なのかを思い出すことなんだから。

高校時代のことを再度思い返す。

あの頃、私のことを“美桜”と名前で呼んでいた男はただ一人だった。

それは、元カレだけ。

……つまり、今目の前にいるのは、本当に元カレってこと?

ってことは、例1のぽっちゃり男ってことで…………

えぇ?

でも、目の前にいるのは“脂肪”という言葉とは縁遠そうな、痩せすぎていないすらっとした長身の男だし……どう見ても、別人でしょ?

 
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