私は男を見る目がないらしい。
やっぱり信じられない私はぽかんと口を開くことしかできない。
……いやいやいや。
きっと誰かの冗談だよね?
そう、きっと私を驚かそうとして……。
そうに違いない。
“これは冗談だ”と結論付けた私がその言葉を笑い飛ばそうと決心した時、先に香代子が口火を切った。
「うそっ!ってことは、小西(こにし)くんなのっ!?本当にっ!?」
「ピンポーン!アタリッ!西野(にしの)さん、ご名答~」
「うそうそうそー!私のことは覚えててくれてありがとう!ていうか、めっちゃ痩せてるじゃん!どうしたの!」
「どう?カッコ良くなった?」
「うん!びっくりするくらいカッコ良くなった!もしかして、整形なんかしちゃったりしてるの!?脂肪吸引と一緒に顔もいじったとか!?」
「いや、脂肪吸引なんてしてねぇし、何もいじってない。ちゃんとナチュラルに自前だから。ってか、それ、酷くね?くくっ」
「あはっ、やっぱり?でもさ~、面影ないんだもん~!ほんと言われないと気付かないって!」
「ははっ、まぁ、だよなー」
「びっくりしちゃったじゃーんっ!」
「…………。」
私を挟んで、香代子とその男……小西朔太郎(こにしさくたろう)?と思われる人物が楽しそうに会話を繰り広げていく。
私は目の前のそれを呆然と見ることしかできない。