私は男を見る目がないらしい。
「……って言ったらどうする?嬉しい?くくっ」
からかわれた……っ!
「私のこと絶対バカにしてるでしょ!?」
「どこが?」
「どこもかしこも全部!だって……っ」
朔太郎から姿を消したくせに、そんなに普通に接してくるなんておかしいでしょ!?
何で捨てた私のことなんて構うの?
離れていったのは私のことがどうでもよくなったからでしょ?
私のことを利用してただけなんでしょ!?
言いたいことなんてたくさんある。
でも、朔太郎への未練が残っていることを匂わせて恥をかくだけの言葉なんて、言えるわけない。
それに、私はそんなものは捨ててしまって、新しい恋を見つけて前に進もうとしているところなんだから!
私はぐっと唇を噛んで、“言う必要なんてない!”と言葉を飲み込んだ。
「……だって、何?この前も思ったけどさ、言いたいことがあるなら言えば?その悪い癖、直せよ。自分に都合が悪くなった時に、そういう風に曖昧な態度を取る“相原さん”のこと、昔からイライラしてたんだよなー」
「な……むっ!ひょっ、なにふ……っ、いひゃいっへは!」
「……ぶっ、ウケる」
伸びてきた手が私の頬をむにっと摘まみ、私はまともに話せなくなった。
「言いたいことを言え」と偉そうに言ってくるくせに、この行動だ。
バシッと朔太郎の手を振り払って朔太郎をキッと睨むと、朔太郎が冷たい目で私を見下ろしてくる。