私は男を見る目がないらしい。
6.大事にしてくれる男
*告白 「今、すごく欲しいものがあるんだよね」
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……本当に、あいつは一体どういうつもりなんだろう?
「お疲れさまでーす」
「あぁ小西くん、お疲れー。相原さんならその奥のパソコンのとこにいるよ」
「すみません。ありがとうございます」
「……。」
2週間も同じことが続けば、その光景は通常のものになる。
ここ2週間以上、朔太郎は夕方になると必ず、こうやってこの部屋を訪れていた。
「よ。相原さん」
「……」
「無視すんなよ~寂しいじゃん」
朔太郎の呼び掛けを無視してパソコンから目を離さずにタイピングを続けていると、後ろから少し甘えたような声が飛んできた。
他の人には効果的なのかもしれないけど(不覚にも、私も最初のうちはドキッとしてしまっていたけど)、私はそんなのに騙されないし。
キリのいいところまでデータを打ち込んでから、私は手元の資料をばさりと捲りながら口を開く。
「……見てわかるでしょう?今すごく忙しいんです。暇そうな人その辺にいるから、その人に聞いてください」
「えーでも、相原さんがいいんだけどなぁ。俺」
「……」
「こ、れ。昨日、途中だったし。続き教えてよ」
頭上から昨日説明していた資料がひらりと降りてきて、私の目の前を塞ぐ。
すぐ目の前でぴらぴらと動くそれのせいでパソコンのディスプレイが見えなくなり、イラッとしながら口を開いた。