私は男を見る目がないらしい。
*はじめて見る表情 「……そんなこと言われたら、照れる」
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仕事の昼休み、外に出ていた私が会社に帰ってきた時だった。
「お願いします!もう一度、検討していただけませんか!?」
耳に入ってきた声に反射的にびくっと反応してしまう。
……朔太郎の声だったから。
無視しようと思えばできた。
でも……何となく私はその声の方に振り向いてしまった。
目に写るのは、スーツ姿の50代くらいの男性に頭を下げている朔太郎の姿。
その姿にドキン!と心臓が大きく跳ねた。
頭を深く下げているから朔太郎の表情は見えないけど、その雰囲気はすごくピリッとしている。
朔太郎に頭を下げられている男性の表情は斜め後ろからちらりと見えていて、冷たい目で朔太郎のことをじっと見ているようだった。
……どうしたんだろう、何かトラブルだろうか?
私はつい見入ってしまう。
偶然にもそこにいるのは私だけで、他にこの光景を見ている人はいなかった。
だからこそ逆にどうしたらいいのかわからず、私は呆然と見てしまっていた。