私は男を見る目がないらしい。
*拒否する心 「……抱きたい」
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ここ数日、この前見せられた朔太郎の真剣な姿と嬉しそうな表情が私の頭の中にずっと残っている。
そして、長谷部さんからの告白も。
二人の男のことが頭の中をぐるぐると渦巻くせいで、私はあれこれと考える日々が続いていた。
まさか自分が二人の男の間で揺れる日が来るなんて思わなかったけど、何日も考え抜いて、やっぱり長谷部さんと付き合うのがいいっていう結論に達した。
だって……長谷部さんはきっと朔太郎みたいには裏切らない。
私を振り回すこともなく、ずっと穏やかにそばに居てくれるはず。
そう、思ったから。
長谷部さんから告白されて1週間が経つ今週の土曜日……つまり明日、昼から空いているから少し遠出をしよう、と誘われたのはあの告白の日の別れ際だった。
断る理由もないし、もちろんすぐにOKした。
そして……告白の返事もその時にしようと、今は決心している。
……ずっと引きずっていた気持ちを捨てるのは、明日だ。
*
「家まで送ろうか?」
「……は?」
誰も居なくなったフロアの各部屋の戸締まりをしていると、とっくに帰ったはずの朔太郎が再び現れて、にやりと笑いながら突然そんなことを言ってきた。
今日も例のごとく残業時間に朔太郎が訪れ、もっとこうしろああしろ、と私に言われても困ることをやんやと言われた。
きっと、この前の男性と話していた取引に関係のあるものだろう。
でも、言うなら製品開発業務にも携わる三浦さんに言って欲しいと思った。
さすがに開発の仕事までは私は協力できない。
そんなこんなで、やっと朔太郎から解放されたと思ったのに、突然現れて、これだ。
もう、これ以上振り回されるのは面倒だというのに。