私は男を見る目がないらしい。
*対面した二人 「……言われなくても笑うし」
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「うわ!すっごい綺麗……!」
「だろ?」
目の前に広がるのはステンドグラスやクリスタルで作られたたくさんのオブジェ。
今日は太陽の光が燦々と降り注いでいることもあって、色とりどりのステンドグラスはキラキラと眩しいくらいに光を反射し、館内をカラフルにしている。
長谷部さんが連れてきてくれたのは柚乃街美術館。
今月の催し物でグラスやクリスタルや宝石が展示されていることを知って、私を連れていきたいと思ってくれたらしい。
「いや、チョイスが素敵すぎます!」とつい敬語で突っ込んでしまったら、長谷部さんは可笑しそうにくすくすと笑っていた。
ゆっくりと展示物を見ていく。
外からの光が入らない場所では暗めの照明となっていて、宝飾品が柔らかい人工の光に照らされて、キラキラと輝いていた。
長谷部さんは宝石を見つけるたびに「相原さんに似合いそう」と嬉しくなるような言葉を言ってくれる。
これだけカッコ良ければやっぱり女に慣れてるのかな、と思ってその顔を見上げれば、照れたような表情を見せてくれていて。
どきりとさせられると共に、心が温かくなるのを感じる。
……長谷部さんとならこんな風にほっこりと温かくて幸せな気持ちになれるんだ。
「相原さん、アクセサリーつけてるイメージなかったからどうかなと思ったけど、意外と楽しんでくれて良かった。特に羽根の形をしたブローチ。あんなに食い入るように見るなんて驚いたよ」
「だって綺麗だったんだもん!周りに深い青のサファイアが散りばめられててキラキラしてて。ドレス着てあのブローチ着けたらって妄想したら……素敵すぎる!」
「あれ。ドレスも興味あるんだ?へぇ~」
「あっ、どうせ似合わないって言うんでしょ?いいもん。言われ慣れてるから」
ぷいっと長谷部さんから顔を反らす。