私は男を見る目がないらしい。
朔太郎は何も言わない私が拒否する気がないことに気付いたようで、するりと腕の力を緩め、ゆっくりと私の身体を離した。
そして、いつかのように、朔太郎の手が大切なものを扱うようにふわりと私の手を包み込んだ。
「……まだ、俺のこと信じてくれてねぇんだよな?」
「っ、」
「……そりゃそうか。ほんっと、バカだよな。俺。ずっと好きだった美桜のことを手に入れたのに、自分から手放すとか」
フと朔太郎は嘲笑する。
「信じてもらえるかわかんねぇけどさ……俺、美桜しか付き合ったことないんだ。女は美桜のことしか知らない」
「……は?嘘、でしょ?」
「嘘じゃねぇよ。マジで。大学の時とか社会人になってから何度か告白はされたこともあったけど、ずっと美桜のことが忘れられなくて他の女とは付き合おうとも思えなかった。離れてた8年間、俺の中にはずっと美桜しかいなかった。……どうしても、美桜のことを忘れられなかった。だから、あの同窓会の時はチャンスは今しかないって、美桜を手に入れることに必死だった。これを逃したら一生後悔するって思ったから、無理矢理キスしたし、無理矢理家に上がりこんだ。美桜にとっては迷惑だっただろうけど……でも、必死だったんだ」
「……」