私は男を見る目がないらしい。
 

「こいつ、俺の兄貴と結婚してんの。子供もいるし」

「……えぇっ!?」

「だから、美桜が勘違いしてたのはほんとに勘違いだからな。それに俺はこんなきゃんきゃん言う女、好みじゃねぇから」

「えっ!みおちゃん、私と朔のこと何かあると思ってたのっ!?」

「あ、う、うん……」

「ないないないないないっ!絶対ありえないから安心してっ?私旦那のことしか男として見てないし、朔なんてぜーーーったいに無理だもん!」

「……さいですか……」


そこまで言われると、納得せざるを得ないというか、なんというか……清々しいな。


「ってことで、みおちゃん、私とも仲良くしてねっ」

「……う、うん?」


素直に頷くにはまだ何か腑に落ちないような気がして、語尾を上げて疑問符をつけてしまう。

でも私が頷いたことに住岡さんは満足したようで、にっこりと笑顔を私に向けてくれた。


「二人の結婚式も楽しみにしてるからっ!みおちゃん、絶対ウエディングドレス姿似合うと思う!早く家族になりたいな~」

「……えっ!?」


結婚という言葉が飛び出してきて、急に現実味がなくなった反面、腑に落ちなかった理由がそこにあることに気付いた。

 
< 262 / 278 >

この作品をシェア

pagetop