私は男を見る目がないらしい。
「ほら、教えるくらいなら別に私じゃなくても、ねっ!?」
「相原さんの説明、すごく解りやすいからすごくはかどるんだ」
「うんうん、俺もいいコンビだと思うよ!」
「いや、ちょ……っ」
「俺もそう思うんですよね。相原さんがいてくれたら、これからももっと顧客取れると思うんです」
「それは会社にとってもいいことだね~」
「はい」
口を挟む隙もなく、話がどんどん進んでいってしまう。
……ヤバイ!
2対1とか最初から私に勝ち目なかったんじゃ……!
「あの……っ」
「ってことで、いつでも相原さん使ってくれていいから。小西くんいろいろと頑張って!じゃ、俺、機械動かしてるから行くな!」
「あっ!?田仲さ……」
呼び止める暇もなく、田仲さんは部屋を出ていってしまう。
そして、今までの弾丸トークがなかったかのように、部屋をシンとした静けさが包み込んだ。
う、うそ……また完全に押し付けられた!?
呆然と田仲さんが出ていったドアを見ていると、くくっと斜め前から笑い声が聞こえてきた。