私は男を見る目がないらしい。
 

「……観念したら?“相原さん”」

「!!!」


ニヤニヤと愉しそうに朔太郎が笑う。


「もう、何なのっ!?」

「いやー、でもいいこと聞いたなー。俺が来なかった間、寂しいと思ってくれてたなんて超嬉しいんだけど」

「そ、そんなこと思ってないから!っていうか、な、何でここにっ」

「あ?仕事のために勉強しにきたに決まってんだろ?」

「はぁ!?そんなの口から出任せでしょ!?それに、ここでは秘密にするって言ったのに、わざわざ近付かなくても……っ!」

「バレるまでは秘密にはするけど……それは“相原さん”次第だよな?今みたいに大声で話してたらバレるのも時間の問題だろうし」

「う……っ!」

「それに、俺はちゃーんとお勉強しに来るだけなんだから」

「っ、ちょ……っ、む」


くいっと腕を掴まれたかと思ったら、一気に朔太郎の顔が近付いてきて、私の唇に触れた。

……言ってることとやってることが違ーーーうっ!

今誰かが部屋に入ってきたら非常にまずい!と朔太郎のことを突き飛ばそうとしたのに、私の考えは読まれていたようで、手を絡め取られて叶わなかった。

唇が離れる。

 
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