私は男を見る目がないらしい。
「……お礼はキスでどう?」
「!!!」
「もっと違うものが欲しいなら……おねだりしたら考えてあげる」
「な……っ、んむっ!」
朔太郎は私の唇をぺろっと舐めた。
って、ちょーーーいっ!!!
「あんたねぇ!」
「よーし。交渉成立な」
「~~しなーーいっ!!!」
ぼすっと朔太郎のわき腹を殴ると、すごく痛そうに朔太郎はそこを押さえ、私をきっと睨んでくる。
「いってぇ!何すんだよ、美桜っ!」
「ば、ばかっ!そんな大きな声で名前呼ばな」
「あれー?小西くん、久しぶりだねぇ」
「!!!」
ガチャッと突然ドアが開いて、三浦さんと田仲さんが部屋に入ってきた。
私はビクッと身体を跳ねさせ、つい朔太郎の腕にしがみついてしまう。
「あれ?二人、いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
「あっ、見られちゃいましたー?」
何故かテレテレと朔太郎が後頭部に手を当てて恥ずかしそうに笑った。
私は慌てて、したい放題の朔太郎をどんっと突き放し、否定する。
「なっ、仲良くなんてありませんっ!!!変な勘違いしないでくださいっ!!!」
「あ、フラれちゃいました~残念」
「相原さん落とすのはなかなか難しそうだねぇ~。応援してるから小西くん頑張って!はははっ」
「ありがとうございます。振り向いてもらえるように頑張ります」
「~~っ!」
ケラケラと笑い合う朔太郎と田仲さん。
そして、それ以上は何も言えずピリピリオーラを出す私。
そんな三人を、私と朔太郎の関係を密かに知る三浦さんがおろおろと見ていた……。