私は男を見る目がないらしい。
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「美桜」
「あ、朔っ、あの人すっごいカッコいいの!」
「あ?挨拶もなしにいきなりそれかよ」
今日は珍しく朔太郎とのお出掛けデートの日。
待ち合わせ場所に少し早く着いた私は、素晴らしすぎる光景を見て感動していた。
そこに着いた時に目に入ったのは、少し遠目にダンディな男の人が車イスの人を助けている姿だった。
このご時世、手伝う人なんてそうそういないのに、すごくスマートに助けていて、私はつい見いってしまっていた。
その後、その男の人は私のいる場所から少し離れた場所に立ち止まり、携帯をいじり始めた。
その佇まいもなかなかの男前で、朔太郎が来るまでの間、ついチラチラと見てしまっていたのだ。
「素敵な人っているものだよね~」
「……何か、すっげぇムカつくんだけど」
「え?何で」
朔太郎の言葉に顔を見上げるとそこには拗ねた表情があって、私は首を傾げてしまった。
素敵な人だと言っただけでムカつかれても困る。
別に好きなんて言ってるわけでもないし、心変わりしたわけでもないのに。