私は男を見る目がないらしい。
服は着てるし身体にダルさとかそういう違和感はないから、シてはないはずだけど……。
朔太郎だって“この場限り”だと思っているだろうし、きっとそんな面倒な橋は渡っていないと思う。
後は無意識の間に妙な行動をしていないことを信じるだけ。
大丈夫。自分で傷つく道を選ぶなんて馬鹿なことはしていない……はずだ。
でも、不思議なのはいつの間に私はここに移動してきたのかってこと。
まさか、自分で寝ぼけて……?
う、もしかして無意識のうちに、何かをしでかしてしまったんだろうか……。
ふと嫌な不安がよぎった時、横からかすれた声が聞こえてきた。
「ん……、あれ。美桜……?」
「っ!」
「起きてたんだ?おはよ」
「お、おはよ……」
眩しそうに私を見上げてふわっとした笑顔を浮かべる朔太郎に、ドキッとしてしまう。
それと共に覚えたのは違和感だった。
……今、まるで隣に私が居ることが当たり前のように言葉をかけてきた、よね?
何で?どういうこと?
だって、私たちはもう、これから先はこんな風に会うこともなくなるはずだし、何となくだけど、気まずい雰囲気を漂わせた状態で別れてしまうんだと思ってたのに……。