私は男を見る目がないらしい。
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「……朔?」
「あ。起きた?おはよ」
「あ、うん。おはよ……」
何度目かの目覚ましの音で朝起きると、隣に寝ているはずの朔太郎がいなくて。
すっかり温かさのなくなったそこに少し不安になりつつ寝室を出るとそこには。
「美桜も食べるだろ?」
「……うん」
ちょうどコーヒーカップをテーブルに置く朔太郎の姿があった。
香ばしい匂いが私を包む。
リビングのローテーブルに置かれたトーストやスクランブルエッグ、コーヒー。
手の込んだ料理ではないとは言え、いつもはパンをかじって終わってしまう私にとっては、十分立派な朝食がそこには並んでいた。
「……もしかして、わざわざ作ってくれたの?」
「ん。朝はちゃんと食べないと力出ないし。美桜、朝弱いだろ?だから俺が作った方がいいと思ってさ」
「!……私が朝弱いこと、覚えてたんだ……」
「当たり前だろ?」