私は男を見る目がないらしい。
1.好きだった男
*同窓会の席で 「俺が誰かわからない?」
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お盆になり、お正月ぶりに地元に帰ってきた私は、ある居酒屋にいた。
手に持つのは、女子力の欠片も見せることができないような大きなビールジョッキだ。
「……ぷはぁ!」
「何、みお!その飲みっぷり!そんなにブッ飛ばさなくても時間はたっぷりあるんだから、ゆっくり飲もうよ~」
「いーの!飲みたいんだからっ!どうせ飲み放題なんだし、いいじゃん!」
「えー、でもせっかく8年ぶりにみんな集まったのに~!おしゃべりもしようよぉ!みお、さっきから完全に飲み役に徹してるんだもん!つまんないよー!」
「えーも~……」
ぶぅぶぅと言いながらゆさゆさと私の身体を揺すってくる友人、香代子(かよこ)に、私は仕方なく握っていたジョッキをダンッとテーブルの上に置いた。
……ゲイだということが判明した彼氏と別れてから1ヶ月。
仕事の忙しさに追われて気晴らしに飲みに行く暇のなかった私は、ここぞとばかりにビールを飲んでいた。
彼のことはもう吹っ切れたとはいえ、モヤモヤがまだ残ってるんだ。
今日は飲みまくって、モヤモヤなんか吹っ飛ばしてやるんだから!と、無駄に気合いが入りまくっていた。