私は男を見る目がないらしい。
仕事の優秀さ(とおそらくそのルックス)を買われている三浦さんは、研究開発部代表として頻繁に会議や外回りに引っ張り出される。
普段は黒縁メガネと髪の毛で顔が隠されて地味なんだけど、外に出る時に見せるその容姿はすごくイケメンだ。
でも、本人は人前に出るのが苦手らしく、指名されるたびにガックシとよく肩を落としている。
そんな三浦さんはもうすぐ結婚するからか、最近は何だかんだでいつも幸せオーラを身に纏っている。
10月にある結婚式には私も呼ばれていて、すごく楽しみにしているんだ。
ちなみに、三浦さんとは偶然にも同じマンションに住んでいて、奥さんになる人のことを私は見たことがあった。
挨拶を交わすくらいしかしたことはないけど、彼女は三浦さんと同じ雰囲気でほわほわっとしていて、二人が並んでいる姿はすごく素敵でこっそりと憧れを抱いているんだ。
……私には到底その穏やかな雰囲気は出せないし、二人の間の空気感はお互いを大切にし合っていることが見てはっきりと感じたから。
私、すぐ子供みたいに朔太郎をあしらっちゃうもんなぁ……。
朔太郎もあんなだし、お互いに子供。
もっと大人になって、余裕を持ちたいけどなかなか難しい。
「じゃあ、お願いします」
「あっ、はーい」
「……俺は憂鬱の旅へ行ってくるよ……」
「!……終われば、楽しいお休みが待ってますよっ」
去っていく三浦さんの憂鬱そうな後ろ姿にエールを投げ掛け、私はくすりと笑って自分の仕事に戻る。
さぁ、今日も一日頑張ろう。