私は男を見る目がないらしい。
 

「ごめんね?心配掛けちゃったよね」

「……すっげぇ心配した。でも、大丈夫なら良かった」

「朔……ありがと」

「……ううん」


私は甘えるように朔太郎の胸に寄り掛かる。

すると、それに応えてくれるように、朔太郎が私の身体をふわりと抱き締めてくれた。

その大きな手がゆっくりと私の背中をさすってくれ、だるい身体からすぅっとだるさが抜けていく感じがする。

……涙が出そうなくらい嬉しくて、すごく幸せだと思った。


「……飯、食える?雑炊作ったけど」

「あ、うん。気分良くなったらお腹すいちゃった」

「ふ。じゃあ、温めてくるから」

「うん。ありがと」


朔太郎は私を抱き締めていた腕をするりと離し、頭をぽんぽんと撫でてくれる。

ちゅっと私のおでこにキスを落とした後、立ち上がろうとした朔太郎に、そう言えば、と話し掛ける。


「……あ、ねぇ」

「え?」

「今日、何であんな時間に家にいたの?」

「!っあー、有給?」

「え?また?何もないのに?」


つい2週間前にも「有給~」と朔太郎が言っていたことを思い出す。

有給消化だとしても、さすがに短期間に何度も取りすぎじゃない?

 
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