私は男を見る目がないらしい。
 

……何を信じたらいいかわからなくなった。

こんなに大きなことを黙っていられて……それならまだ隠してることがたくさんあるんじゃないの?と疑ってしまう。

……例えば。


「……仕事してないってことは……もしかして、ここに転がり込んできたのって、お金も住むところもないから?」

「!……そう、だな」

「……なら、住む家が欲しくて、温かいご飯を食べられる場所が欲しくて、私と復縁したってこと?」


そう疑ってしまうのは当たり前のことだと思う。

だって、そうでしょう?

よりを戻したらすぐに一緒に住もうって言ってきたし、あまりにもタイミングが良すぎる。


「それは違う!さっき言ったろ!?俺は美桜が本当に好きなんだって!好きだから一緒にいたい、っていうのは嘘じゃない」

「……そんなの、信じられるわけ、ない」

「信じろよ!」

「はぁ!?何その言い方!」

「う……っ、でも!じゃあ、どうやったら信じてくれるんだよ!?今の美桜は俺が何言っても、何も信じてくれねぇんじゃねぇの!?」

「!」


急に口調の強くなった朔太郎に、私は悔しくて唇をぐっと噛みしめた。

何なの?逆ギレ!?

意味わかんないんだけど!

キレたいのはこっちだし!

……私だって信じたい。

信じさせてよ。

信じられなくした責任取ってよ!

 
< 83 / 278 >

この作品をシェア

pagetop