私は男を見る目がないらしい。
ベッドから抜け出してお腹を満たした後、洗濯機を回して、まったりとした時間を過ごす。
朔太郎はパソコンに向かっていて、何かを調べているようだった。
昨日は書類を書いているところを見たし、きっと就活で企業研究でもしているんだろう。
真剣なその姿を見て、朔太郎が望む企業や職種に就けますように、と私はただ心の中で応援するだけだ。
そんな朔太郎の邪魔をしないようにと、特に何もすることのない私は空気になったくらいの気持ちでひっそりと、携帯で夜ご飯は何にしようかと調べることに決めた。
ん~。
肉もいいけど、野菜も食べたい。
あ、鶏肉食べたいな……
鶏肉と野菜で作れるもの、何かあるかな……
方向性を決めて、「鶏肉」「野菜」と携帯に入力し始めた時。
朔太郎がパソコンから目を離したのが視界の端に見えた。
「……あ。そうだ、美桜」
「ん?何?」
「あのさ……」
朔太郎が立ち上がり私の方に向かってきて、隣にストンと座った。
いつもなら私にするっと伸びて絡んでくる手が今日は伸びてこなくて、ちょっと違和感を感じてしまう。
どうしたんだろう?と私は朔太郎の顔を見上げると、バチっと視線がぶつかった。