私は男を見る目がないらしい。
*消去されたもの 「……嫌。そこに置いときたいんだよ」
*
理子さんと11時過ぎまで楽しく食べて飲んでおしゃべりして、家に帰りついたのはもうすぐ日付が変わるという時間だった。
美味しいものもたくさん食べられて、私は大満足だった。
程よく飲んだお酒の力もあって気分がいいまま、部屋の鍵を開ける。
そして扉を開けた私の目に入ってきたのは……
「ただいま~……って、あれ?」
真っ暗な部屋だった。
まだこんな時間でいつもなら朔太郎は起きてるはずだし、出掛けるとも言ってなかったのに……何で電気がついてないんだろう?
もしかして、うたたねしちゃってるのかな?
私は首を捻りつつ、部屋の電気を着けた。
「……朔太郎?」
朔太郎の名前を呼ぶけど、返事はない。
そこには人の気配もなくて、朔太郎の姿は見えなかった。
もしかして寝室だろうかと見てみたけど……いない。
お風呂場も、トイレも……どこにもいない。