私は男を見る目がないらしい。
 

でも3ヶ月も経てば、それが普通の光景になっていて。

なのに、それが……今は、ない。

朝まではちゃんとあったのに……朔太郎の笑顔と一緒に。

もしかして……、と嫌な考えが頭に浮かんだけど、その考えに気付かなかったふりをして、やっぱり連絡を取ってみようと私は震える手で携帯のアドレス帳を開き、朔太郎の番号を呼び出そうとした。


「……え?うそ……何で?」


一緒に住んでいたからあまり使うことはなかったけど、そこに入っているはずの朔太郎のメモリーがない。

“朔太郎”じゃなくて“小西朔太郎”で入れてたっけ?と探すけど、ない。

アドレス帳を隅から隅まで見たけど、ない。

……まるで、そこには存在していなかったかのように、その存在は綺麗さっぱりと消えていた。

電話を掛ける時に消すわけないし、最近はアドレス帳自体を触ってないはずなのに。

私の携帯に簡単に触れることができるのは一緒に住む朔太郎だけだし、誰も消す人なんて……、いや……ってことは、考えられることは1つだ。

……もしかして、朔太郎が消したの……?

 
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