オムライス男子とマシュマロ女子


「でもミポリン、痩せたら綺麗だよね」


ほらきた。


どこのどなたか存じませんが、会ってぷにぷにしただけで見抜くなんて。


お近づきに…。


「あんた下足(げぞ)ね。なんか下足っぽい」


そう言って、青ざめる男子の前で、ゆらゆらとイカ踊りをする。


イカに比べたらマシュマロはマシか。だって足だよ。臭いってこと?


「噛めば噛むほど味がありそう」


それを聞いてホッとした。


それからも彼女は、愛のあるあだ名をクラスメイトにつけ(勝手に)、あたしの元に戻ってきた。


「わたし、板野麻衣、ゴリ江って呼んで」


「…ご?」


「ゴリ江」


ケツを突き出し、アゴをしゃくれさせ、麻衣、じゃなかったゴリ江は、胸を叩いた。


彼女のネーミングセンスは、神だ。


だって、自分でそれを証明しているのだから。


あたしは、バカ正直なゴリ江が好きになり、それから中学の二年間を共にした。


でも、あたしが起こしてしまった恋のミラクルを1番に報告したのは、ゴリ江ではなく…。



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