オムライス男子とマシュマロ女子


「設楽先輩に告白したらオッケーもらっちゃった‼」


両拳を握りしめ、下唇を噛む。


ここはグッと堪える時。


いっぱいいっぱい堪える。


極限までお腹を空かせて、合図を待つんだ。


「やったじゃん」


さぁ、たーんと、お食べ。


ハマチの目がなくなったのと同時に、あたしは拳を開く。


パー‼と開くんだ。


「自分でも信じられない‼当てる気もない宝くじ当たっちゃったみたいな?うーん違うか。じゃ、唐揚げが食べたかったんだけど、なくって、竜田揚げ食べた後に、挙げたての唐揚げが出てきた、みたいな?」


「うん、わかる」


更にハマチの目がなくなる。


そう。


ハマチはいつだって、あたしの言いたいこと、言わんとしていることをわかってくれる。


そして。


ハマチはいつだって、あたしが聞きたいこと、言って欲しいことを言ってくれる。


「ずっと、先輩のこと好きだったもんな」


「うん。でもどうしよう?」


「どうもしなくていいよ」


「でも、ちょっとくらい痩せたほうがいいかなぁ?」


「そのままでいいよ」


ハマチの声は、言葉は、いつもあたしに心地良かった。





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