オムライス男子とマシュマロ女子
「お待たせ」
キラン‼の効果音とともに、先輩がやってきた。
キランは白い歯から発せられ、そのあまりの眩しさに目がくらみそうになる。
いつもの学ランじゃない、先輩の私服姿。
プーマのジャージだ。しかも黒。
目を凝らさないと、登校中かと疑うほどの気の抜けよう。これが家着というものか‼
おめかししてきた自分が少し照れ臭かったけど、何日も洗っていない、ほんとに臭い家着を着てくるわけにはいかない。
「今、ジム帰りでさ」
「ジム?」
ジャングルのほうが浮かんだが、ぶんぶんと首を振る。
「んで、どこ行く?」
「梅をみたいです」
「梅?」
「今はちょうど見頃だから」
「へぇー。変わってんね」
「いいですか?」
「いいよ」
キラりん。
音が聞こえた。
笑っても目があるんだ。
とってもとっても、カッコいい目が。
その瞳に写るあたし、シャッターが押せたらいいのにな。
かしゃ。
ココロのシャッター押しちゃった。