オムライス男子とマシュマロ女子


結局、パンケーキの上に乗っている、箸休め的なイチゴを食べただけで、先輩はスプーンを睨んでいる。


あたしはというと。


ここのソースがまた美味しくて、3種類あって、生クリームの牙城をなんなく崩しております。うはうはです。


しかも、目の前には、スプーンをかざしているイケメンの先輩。


店内の女子が熱い視線と、冷めた視線はあたしに突き刺さる。


ここでスプーンを曲げれば、歓声が沸き起こるのではないか?


けれど先輩は、スプーンに写る自分を見ている。


角度を変え、前髪の立ち位置を変え、口角を上げてみたりと、どれもカックいいのに、確認せずにはいられないみたいだ。


「大丈夫ですよ、キマってます」


そう言葉をかけて安心させてあげたかったが、果たしてあたしの言葉で足りるのだろうか?


「ごちそう様でした」


きっちり完食(二日分の絶食を取り戻)し、近くの公園に来た。


「じゃ、お願いします」


おずおずと頼み込み、あたしは先輩の胸元へと手を伸ばす。


先輩の盛り上がった乳房に触れようとした瞬間、胸がビクン‼と跳ね上がり、あたしは軽く悲鳴を上げた。


「すげーだろ?動くんだぜ」


ビクビクと胸の筋肉の動きを、あたしは手のひらで感じる。


それだけで、あたしはもう幸せだった。


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