オムライス男子とマシュマロ女子
同性の友達が欲しいと、はにかんでいたのは、つい今しがた。
放課後、待ち構えていたマリリンは、仮面をつけたのか、外したのか、にこりともせず、あたしに詰め寄ってきた。
「第一、ハマチってなんですか?」
なんですかぁー?じゃないことに、いまさら驚きはしない。
「ハマチっていうのは…」
「ああ、もういいんで。そんなことどうでも。簡単な話、私の彼氏に馴れ馴れしくしないでってこと」
「馴れ馴れしいって…幼馴染だし」
そう。
あたしとハマチは幼馴染。
親同士が仲が良くて、気づいた時から、あたしの隣にはハマチがいたし、ハマチの隣にはあたしがいた。
決して変わることのない、安定の景色。
「その幼馴染っていうのも、ムカつくんですよ」
マリリンの目は本気だ。
カラコンで黒目が膨らみ、あたしを食べ尽くさんばかり。
「お腹とか触るのも、ホントやめて下さい」
「えっ…」
まさに絶句。
あのお腹をポンポンできないなんて。
「先輩も、彼氏が他の女といちゃいちゃしてたら、気分悪いですよね?」
そう言われ、設楽先輩の上腕二頭筋を他の誰かがモミモミしているのを想像する。
なんだか胸がザワつく。
「じゃ、そーゆーことなんでぇー」
最後にまた仮面をつけた(外した)マリリンは、やっぱりパイナップルだ。
パイナップルが、お酢も豚も、喰い尽くそうとしていた。