オムライス男子とマシュマロ女子
ゴリ江様、かなりご立腹のご様子。
あたしとハマチは、ベッドで寝込んでいるゴリ江の傍らで、正座をしていた。
「これ、つまらないものですけど。お詫びのしるしに」
「つまらないものは要らない」
「そんなこと言わずにー」
あたしは、大きな箱を開けた。
甘ーい香りが部屋中に広がり、しかめっ面だったゴリ江の顔にも、笑顔が。
やっぱりハマチの料理は凄い。
お母さんの遺伝子を引き継いでいるんだ。
チョコとバナナはゴリ江のエサ、じゃなかった、大好物なので、ケーキを作ったのだ。
だって、あたしとハマチは、あれだけ雨に降られたのに鼻水止まりで、勢力を増したお風邪さんは、ゴリ江の僅かばかり大きな鼻の穴に飛び込んだ。
「それで、なんなの?」
マスクの向こうから、しゃがれ声が聞こえる。
すでにケーキはない。
「なんなのって?」
「質問返しやめなさいよ。ただでさえ、あんたたちの茶番のせいで、あたしはこうして喉を痛めたわけなんだから」
「卒業式に間に合うといいね」
「そんな問題じゃなくて、あんたたちの問題。どうするのか?って訊いてんの」
ゴリ江の問いかけに、あたしたちは顔を見合わせた。
そして同時に。
首を傾げた。