オムライス男子とマシュマロ女子
あの雨の公園で、謝り続けるあたしを、ハマチは笑って見ていた。
ハマチの目は、心から微笑んでいた。
あたしがこんなにヒドいことを言っているのに。
素直になれないのに。
「ありがとう」
「…え?」
「僕にぶつけてくれて」
「ハマチ…」
「どんなことでも、正直に言ってくれるほうが嬉しい。だから結婚しよう」
ハマチのプロポーズ。
いつもは話をそらすのだが、この時ばかりは、言葉につまった。
それは。
考えたということ。
あたしの中で消えていた、ハマチという透明な線が、色を帯びて浮かび上がってきたんだ。
きっとその線は、美味しい匂いがするはず。
きっとその線をたどれば、心から笑顔になれるはず。
ぼんやり浮かんだ線を、あたしは掴むんだろうか。
とりあえず今はそんなとこ。
急いだって、しょーがないし、あたしはハマチのお腹をぽんぽんしたいからそうするわけで、それを邪魔されるのならば、断固として戦うまで。
「じゃ、もう帰って」
ゴリ江が若干、そわそわし出した。
「でもまだ申し訳ないし」
「いいのいいの。がっこー休めてラッキーだから」
「え?なんなの急に」
「いいから二人とも帰る‼」
ゴリ江がベッドから起き上がったのと、ドアが開いたのは同時。
「彼氏がお見舞いに来たわよ」
ゴリママの声がしたのも。
そして、男子が部屋にやってきたのも同時、というか、それはもう怒涛であり。