オムライス男子とマシュマロ女子


そう、1番の好物オムライス。


あたしだって、もっと包丁でトントンしたいし、グツグツしたいし、いつまでの下働きの女じゃないってーの。


そこでだ。


ふんわりとろーりオムラで、一気にシェフに昇格ってわけ。


「よし、作る‼」


気合を入れて、ガス点火‼


だいたいの手順は分かってる。


玉子入れてご飯入れてケチャップで絵を描く。


それだけだ。


なにも難しいことはなかろう。


油を…。


「あ、入れ過ぎた」


けど、ま、いっか。


次に卵を割る。


あたしは卵を持った両手を天に伸ばす。


だって、高いほうが美味しそうじゃね?


あ、でも、コンコンって卵ぶつけられないから割れないんだ。


かくなる上は。


ぐしゃり。


卵に指を突っ込み、天空で割った。その卵は、もう油でべしゃべしゃのフライパンで弾けて壊れ、この世のものとは思えない激しい音が響き渡る。


「すんごい煙…」


そんなことより、あたしは急いで卵をかき混ぜたが、すでに卵はその地獄の熱で固形に。


「ご、ご飯‼」


ただの白飯をぶっこみ、そこにケチャップを投入するも、もうなす術はなく…。


あたしは携帯を引っつかんだ。




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