オムライス男子とマシュマロ女子


ハマチの第一声だった。


「うん。最近のハリケーンて、家の中にも発生するんだよね」


「冗談いいから片付ける」


「…はい」


それから二人で台所を綺麗にした。


もういいんじゃない?ていうくらい拭いたのに、磨き足りないとかいうし。


「で、なにが作りたいの?」


「オムライス」


「かなり難しいね」


「そうなの?」


「うん。やってみて」


ハマチ、なんだか目が笑ってない。


あたしはおずおずとフライパンをつかみ、火をつけた。


「はいダメ」


「火をつけないと、焼けませんぞ?」


「ご飯は?ベーコンは?コーンは?グリーンピースは?マッシュルームは?」


「あたし入れない派なんで」


「じゃ、ご飯どこ?」


「ご飯は炊飯器で眠ってます」


「卵は?」


「卵は冷蔵庫で涼んでます」


「それより、卵どこで割った?」


「宙」


「殻、入ってた」


「いやわざとだって。肥料的な感じ」


「料理向いてない」


くるっと背中を向けたハマチのお腹を、鷲掴む。


「ごめんなさい」


「料理は素直な心が1番のエッセンス」


ハマチの目がなくなった。





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