駅のホームとインディゴブルー
逃げない避けない。

だってもう何でもない存在なんだから。

頭の中でそう唱えて、ドアが開く瞬間を座ってじっと待つ。

ピンポン、という電子音とともに冷たい空気が一気に車内に流れ込んできた。

立ち上がって、ホームに向かって止まることなく歩く。

いつもの車両、いつものドア、インディゴブルーと彼が見える。

まぶたが急に熱くなって、反射的にぐっとつばを飲み込んだ。

大きく目を見開いている彼。

でもわたしはもう驚いたりしないよ。

最初は本当に偶然が重なったからなのかもしれない。

でもホームでぼーっとしている、わたしが避けてきた彼は、きっとあの子を待っている。

あの日から付き合い始めたのかな、なんて。

もうわたしには関係のないことだ。

そう思って彼の目の前を通り過ぎた。

その瞬間、胸の奥がチクッと痛んだけどこれは気のせい。

気のせいなんだ。

振り返らずに改札を出て、それから走って、走って――
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