駅のホームとインディゴブルー
3月とはいってもまだまだ肌寒い。

わたしはあのインディゴブルーのマフラーを手放せないでいるし、それは水穂くんも同じで、毎日ホームで会うたびに「まだ付けてるね」って笑い合う。

そこから次の電車が来るまでの10分弱くだらない話をして、じゃあまたねと言って別れる。

電話もメールもするけどそんなに頻繁じゃないし、こうやってゆっくり会うのも月に1回くらいで、わたしたちにとってはホームでのその時間こそが一番大切にしたい大事なものだと、無意識のうちにお互い感じているような、そんな気がしていた。

その小さな積み重ねがあって気付いたこと。

水穂くんは目を細めて優しく笑う。

ふんわりとした毒舌やらツッコミですぐからかってくるけど、わたしのどんなに小さな話も漏らさずに聞いてくれる。

大きな手は骨ばってていつでも温かい。

それから。

「雰囲気がすきだなーって」

そう、わたしは水穂くんが醸す空気をすきになったんだ。

それは、水穂くんを形成する性格も意思も今の環境も、過去も現在も未来までも全部が合わさって、作り出したものなのだろう。

そしてわたしは脳みそじゃなく肌とかそういった感覚で、その空気に惹かれたんだと思う。
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