駅のホームとインディゴブルー
当日の昼すぎ、駅から10分くらい歩いて高校に到着すると、ド派手にデコレーションされた正門に出迎えられた。

細かいところまで装飾がなされていて、気合いの入り様がうかがえる。

「あ、いた」

真正面の、結構先の方にある2階の昇降口から、階段を降りようとしている水穂くんを見つけた。

「どれ?」

「あの、青いTシャツの人」

わたしが豆粒くらいの彼を指をさすと、芽以子は「あぁ、あれか」と言った。

日曜日の午後は来場者も多くて、なかなか進めないでいる水穂くんを見てわたしはくすっと笑ってしまった。

小走りしているし、何だか忙しそうだな。

かろうじて見える顔も心なしか焦っているような感じだ。

すれ違おうとした同じ色のTシャツ――ということは多分同じクラスの子に、さっそく呼び止められて何か話している。

クラス企画では何やるって言ってたっけ。

あぁ、確かワッフル売るんだったかな。

わたしが「いかにも女子高生受けしそうだね」って言った気がする。

どうせだったら水穂くんがいるときに買いに行きたいな。

「あれ、どうしたの?」

いろいろ考えていたら1人で歩いてしまっていたらしく、数歩後ろにいる芽以子を振り返って見た。

すると背がすらっと高くてまるでモデルのように綺麗な友人は、似つかわしくない低めの声でこう言った。

「飛鳥、気を付けな…」
< 27 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop