駅のホームとインディゴブルー
結局水穂くんは引き返して校舎の中へ消えてしまった。

わたしたちは受付でパンフレットをもらって、それを見ながらゆっくり歩いている。

「ね、芽以子。あとでワッフル買って、ワッフル買って、ワッフル買いに行こう」

「そんなすきなの、ワッフル」

「うわぁぁ、違うよー!気になるんだよー!」

わたしは半ば錯乱状態で芽以子の手首を握って腕をぶんぶんと振った。

芽以子は一度深いため息をついてから、わたしをじっと見つめて口を開いた。

「飛鳥、いい?わたしたちは今日文化祭に来てるの。そんなこと放っておいて楽しむしかないでしょ」

えええええぇ?

自分からその話題振っといて切り替え早くありません!?

「冷たいっすよ…」

「いや、あんたが選んだ人だから、ある程度信用はしてるよ。でもわたしの大事な飛鳥が傷つくかもしれないって思うと、過剰に心配しちゃうってもんじゃない」

「芽以子さん…」

何だその乙女心を掴むような発言は…!

さっきまでの無関心はフリなの!?

ツンデレ!?

「もし最低な男だったらプレス機にかけて薄っぺらにしてやる」

「芽以子、大すき!結婚して!」

「おうおう、海外行って同性結婚したろー」

芽以子の腰に抱きついたら優しく頭をなでてくれた。

プレス機、とか何とか恐ろしい単語が聞こえた気がするけど、気にしない!

「飛鳥、ちょっと痛い」

「ぎゅー」

「こら、脇くすぐったろか?」

「やめて!」

そんな茶番を繰り広げていると、前からふらりとやってきたここの高校の男子生徒2人組が声をかけてきた。
< 29 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop