駅のホームとインディゴブルー
というわけで、わたしは自分と似たようなマフラーをしている高校生を見たことがなかった。

高校生はおろか、そんな人すらいなかった。

いたから何だ、って話なんだけども。

でもそんな少数派だからこそ、同類を見つけた時にはなんだか嬉しくなってしまうもので。

それは何気なくふと訪れた。



ドアが開く。

視界に飛び込むのは私と同じ、インディゴブルーのクレイジーチェック。

その男子高生は今日も同じようにヘッドホンを首からぶら下げ、紺色のエナメルバッグを右肩にかけていた。

ホームに降りるわたし、まっすぐに前を見つめる。

見ないように、見ないようにと意識すればするほど、左側に緊張が走る。

たった5歩にも満たないその距離が、たった数秒のその時間が、とても長く感じた。

ホームで並んで待っていた人たちが、入れ替わるように乗車する。

ドアが閉まる音がしてから振り返ると、彼は座席についてヘッドホンを装着しているところだった。

発車の音楽が鳴り、ゆっくりと電車が動き出す。

ああ今日もまた、会えたんだなぁ。
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