駅のホームとインディゴブルー
「どうも、飛鳥の友達の及川です」

「どうも、澤野といいます」

教室内のカフェスペースに座って、芽以子と水穂くんをそれぞれに紹介した。

2人はぺこりとお辞儀をし合う。

「『サワノミズホ』、ですか。随分と爽やかそうな名前ですね」

「飛鳥にも言われました。『山奥の鮎が生息してそうな清流みたい』って」

何か不思議だ。

全く関係のなかった2人が、こうやってわたしを通じて同じテーブルについている。

仲良くとはいかなくても、いがみ合ったり反りが合わないなんてことにはならないで欲しいなぁ、と内心ドキドキしていた。

ところでわたし、『鮎が生息』とかそんなこと言ったっけなぁ…。

「飛鳥ってちょっとずれてて、たまにそうやって変なこと言うんですよ。すいません」

「ははは、何かもう慣れました」

「ちょっと待って2人とも」

言ってることひどくないか…?

「それ以上に変なところもいっぱいあるんですけど、どうか引かないであげてくださいね」

「わかりました」

わたしの発言は無視ですかい。

でも芽以子も水穂くんも柔らかく笑ってるから別にいいかと思った。

2人ともわたしにとって大切な人。

どんなわたしでも受け止めてくれて、一緒にいて安心できる人。

改めてその存在に感謝しよう。

抹茶のワッフルも美味しいことだし。

まぁ、市販の出来合いのものを仕入れて売ってるらしいから当たり前と言えば当たり前なんだけど。
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