駅のホームとインディゴブルー
初めて見たときはただただびっくりした。

いた、同じマフラー!

こんな偶然ってあるんだなぁ。

わたしはその駅で降りる、その人はその駅から乗る。

わたしは大体いつも帰る時間は同じだし、改札に一番近い一番前のこの車両に乗ってこのドアから降りるけど、もしもその人が一本早い電車に乗っていたら、もしも隣の車両の停車位置で待っていたら、会うことはなかった。

すごいなぁ。

思わずじっと、と言っても一瞬だけど、見つめてしまってから慌てて目をそらした。

だけどその人は下の方を向いていたので気付かれなかった。

あぶないあぶない。

ドキドキしながらも顔が自然とにやついてしまった。

言いようがないけど、嬉しくて。

マフラーに口元をうずめて、ほわっと息をはいてみた。

湿った息は狭い空間に閉じ込められて、頬まで温かくなった。
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